汚し屋

同居人

すごく美味しいアジの干物を食べました。

油がのっているので、皮から身がポロッと取れます。

む~さんはいつも魚を綺麗に食べます。

身を食べ終わり、開いた形で残ったアジの皮を丁寧に折りたたんで、元の形に戻しました。

「布団はたたまないのに、アジの皮はたたむんだね。」嫌みを込めて言うと、

「美味しかったからだ。」

アジへの感謝を表したようです。



む~さんはごはんも綺麗に食べます。

お茶碗やお弁当箱に付いている米粒も、一粒一粒残さず食べます。

その一方で、食べながらこぼす米粒には気が付きません。

「お茶碗の中の米粒は大事に食べてもらえるのに、こぼした米粒は気にしてもらえなくて可哀そうだね。」と言うと、

「俺の意にそぐわないで落ちた米粒だからいいんだ。」そうです。

数日後、洗濯槽の掃除をした時、乾いた米粒を見つけました。

む~さんの意にそぐわない米粒がここにもいました。



仕事で中華街に行ったむ~さんが、天津甘栗を買って来てくれました。

期待以上に美味しい甘栗で、2人で食べながら床に目をやると、む~さんの足元に栗の皮の破片がバラバラ落ちていました。

「何だ、この汚し方は!」あまりの汚さに呆れると、

「俺はフツーの汚し屋じゃない。」と、訳のわからないことを言って、威張って見せました。



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