至福のひと時

同居人

む~さんが勤めている会社はブラック企業で、長時間労働の上に休日が少ないです。

50歳過ぎてからの転職で選択肢は狭められ、お給料の額を見て、ブラック企業に就職したそうです。

仕事の日は、帰って来るのが11時を過ぎ、夕飯を食べて、シャワーを浴びて、それから寝る前までが短いくつろぎの時間です。

くつろぎの時間を少しでも長くするために、お風呂でなくシャワーにして、入る回数を少なくしています。

シャワーをしても、1分くらいで済ませる時もあります。

なので、バスタオルが直ぐに黒くなりますが、お疲れなので大目に見ています。



む~さんは短いくつろぎの時間に、自分の部屋で動画を見ながら一杯やります。

一杯を飲み終わる前に寝落ちすることもしょっちゅうです。

寝ているだろう時間になっても、動画の音声が聞こえる時は様子を見に行くのですが、大抵寝ています。

電気も動画もエアコンもつけたままなので、全て消します。

む~さんはこれを「パトロール」と呼びます。


む~さんの週に一度の休みの日は二人で家飲みをすることにしました。

「自由な時間がない中で、これが楽しみなんだ」

む~さんは私とは正反対なので、自分の感情を素直に口に出せます。

「自由な時間がたくさんあっても楽しいわけじゃないよ。楽しみな時間があるのは幸せだね。」

私の言葉には棘があるとよく言われます。



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